EDは最初に自覚できる生活習慣病!
2019/06/20
10年後を見据えた早期の対策を
男性の中で30代を過ぎると、勃起しないことがあったり、性行為の途中で萎えてしまったりといった症状を抱えている人がいます。周りにはいないのだろうか、自分だけだろうかとも思ってしまいますが、実際にこのような症状で悩んでいる男性は、現在の日本においてはかなりの数います。そして、そんな勃起に関する悩みを誰かに打ち明けることもできず、また病院に行くタイミングもわからずにそのままにしている人も少なくないでしょう。直接的に自分の体調に支障をきたしていないため、つい後回しになってしまうと思いますが、このEDから恐ろしい病気が潜んでいることもあるのです。EDになった理由が、血管障害や生活習慣病の予兆となっていることも大いにあるのです。特に、現代においては生活習慣病にかかる人が圧倒的に多くなっているので、いまEDかもと悩んでいる人も油断はできません。そこで、EDの治療を少しでも早く始めてもらうために、その必要性について帝京大学医学部附属病院泌尿器科教授堀江重郎先生にお話を伺いました。
EDとは、30代以降の男性にとって身近な症状
EDとは、勃起障害のことをさします。英語では、Erectile Dysfunctionと呼び、それぞれの頭文字をとってEDと言われるようになりました。このEDはペニスがまったく勃起しないというだけでなく、硬さがしっかりなっていない、勃起した状態をキープすることができないといったちょっとした症状も当てはまっています。つまりは、性行為をスムーズにしっかりできなくなることをEDといいます。ちょっとでも勢いのあるはずの性行為がゆっくりになってきて、思うようにできなくなってきたらEDを疑ってみてもいいでしょう。たまに元気がなくなるといった場合にもED治療の対象には入るので覚えておきましょう。
このようにEDの予備軍であっても、最近は特に疲れているからだろう、ストレスも溜まっているし・・・とまさか自分がEDだなんてと思っている人が多くなっています。ここから、EDを悪化させてしまうことにもなります。つまりは、自分がEDであるということに気がついていない人が増えているのです。堀江先生もこのことについて、「EDの原因の80%以上が器質性といって血管の老化によるものと言われています。実際に高血圧や高脂血症、糖尿病などといった生活習慣病やメタボリックシンドロームと合併していることが多くなっている。」と述べています。現代人ならではの疾患とEDが深く関係していることがわかるでしょう。
EDになる理由のひとつは、血管が不健康なこと
帝京大学はEDに関しての調査を実施したのですが、その結果を見てみると20歳から60歳の平均40歳の150人のうち軽度のものも含めて約半数がEDであると診断されました。この数字には男性のみなさんは驚いたことでしょう。つまりは、2人に1人がEDであるということになるのです。この調査の中では、もう一つわかったことがあります。それは、みなさんまだEDじゃないだろうと過信し、すぐに診察に行っていないという点です。まだそんなに重症じゃないし、年齢とともに勃起機能が弱まっているだけだろう、わざわざ病院にそんな話をしに行くのも恥ずかしいなどと思っている男性が多くなっているからです。
しかし、最近になってEDは全身の血管の健康状態を示しているとも言われるようになってきました。それは、EDになる原因の一つに、血管が不健康であるということがあるからです。陰茎動脈という細い血管の障害によって、EDは引き起こされると言われています。このまま同じような生活をしていて、生活習慣病が悪化していった場合、10年後には動脈硬化がさらに進み、よりひどい状態を引き起こす可能性もあると、堀江先生は警告をしています。実際にアメリカの調査ではEDである男性が高血圧や高脂血症といった生活習慣病を合併している人がかなり多くなっているのです。さらに、そう診断された人は、その後循環器疾患を発生させる確率も上がってきているという結果になっています。
EDは血管障害の中では一番最初に気づくことができる、自分で見てはっきり今までと状態が違うということにも気づくことができます。10年後の自分のことを思い、早めに対処することが大切になってきます。
ED症状は、男性が自分の健康を見直すチャンス
EDの治療にはどんな薬が使用されているのでしょうか?それは、PDE5阻害薬というものになります。このPDE5とは勃起を妨げる酵素と言われています。それを阻害することで、勃起障害を改善できるという仕組みになっています。堀江先生はいま、新しいPDE5阻害薬を使用し、EDの治療に取り組まれています。では、実際にこの薬をどのように処方されるのでしょうか?まずは、EDの診察とPDE5阻害薬についての説明を患者にします。この時に検査が必要になることはありません。すぐに回答できる問診があるのみです。また、EDを発症している人は高血圧や高脂血症、糖尿病などといった生活習慣病を合併していることがあるので、その診断も同時に行うようになっています。
また、堀江先生はPDE5阻害薬の新たな活躍にも期待しています。堀江先生はED治療をされている患者さんに週に1回のペースでPDE5阻害薬を服用してもらっています。このPDE5阻害薬には長時間PDE5酵素を阻害してくれる効果があります。この効果によって血管の機能が回復したり、健康な体を維持することもできるようになるのです。血流の改善をしてくれる薬であることがわかります。
EDを早めに治療することは、10年後の健康を守る
EDは男性だけのことと思いがちですが、パートナーとなる女性にも知っておいてもらいたいことです。性行為をしているパートナーもEDであることに気づくことができます。その早い段階で病院に行ってみたらと伝えてみましょう。近くにEDの診察をしてくれるクリニックだってあると思います。実際にED治療を受けた人からは、性行為の回数が増えた、パートナーとの関係が良くなったという人が多くなっています。
EDを早めに治療することは、10年後の健康を守ることにもつながるのです。
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